第24章 霞む記憶が晴れた先に +
「あ、ごめんなさい。何の話をされてたんでしたっけ?」
申し訳なさそうに私が言うと彼は「もう、また言わないといけないわけ?」と毒を吐いた後、こちらが少し面食らうような事を言って来た。
「君さ、僕より年上でしょ?敬語やめてよ」
「は、はあ……すみません」
目の前にいる霞柱がはあ、とため息をつく。
「ねえ、聞いてた?言ったそばからやめてもらえるかな」
わあ、これは本当に嫌そう。眉間に更に皺が寄ったからだ。
「わかった。これで良い?」
砕けた口調で話しかけると、うん、と頷く時透さん。無表情だけど、瞳に柔らかさが少し加わった。
「名前。何て言うの?」
「沢渡七瀬」
「じゃあ、七瀬」
「え?何でいきなり呼び捨て?」
私は本当にびっくりした。
「だって、君すごく話しやすいから。ダメ?」
うーん、この言い方はずるいな。とても3つ下とは思えない。