第24章 霞む記憶が晴れた先に +
お皿にふろふき大根を足して、その人物の所に行く。
「はい、これ。よろしければどうぞ。少なくなっていたので持ってきましたよ」
「……」
ビー玉のような水縹色(みはなだいろ)の双眸が私をちらりと確認した。腰まであるサラサラの長い髪で毛先は瞳の色と同じ水縹色。
あどけない少年の雰囲気の中に少しの大人っぽさも纏っている。
剣を持ってわずか2ヶ月で柱に昇格したこの人は ——
霞柱、時透無一郎。弱冠14歳。「天才」と言う言葉は彼の為にある表現。
「君って……」
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※ 水縹色(みはなだいろ)……
藍染(あいぞめ)の薄い色で明るい青色。別名、みずはなだ、水色の事。