第23章 音鳴る屋敷で蟲と戯れる +
「胡蝶は以前の君と少し似ているのではないか?とは言え、速さと技術は断然柱の彼女が上だがな!!」
「杏寿郎さん、励ます気あります?」
私は恋人をじとり、と睨む。
「ははっ。すまんすまん!」
豪快に笑う彼を見ると、なんだか気が抜けてくる。
「でもありがとうございます。少し気持ちが軽くなったかもしれません」
「勝負は時の運とも言う。今の君のように肩の力を抜くのも大事だな!後はあまり気負いすぎない事。これが1番自分の力を発揮しやすいのではないか?」
「はい……」
私は杏寿郎さんにギュッと抱きついた。けれど、すぐにパッと離れる。
「すみません、まだ柔軟の途中でした」
しまった。元気づけてもらったら、ついついやっちゃった。
「ん?もう柔軟は終わっているだろう?」
杏寿郎さんが私にずいっと顔を近づける。
「稽古は終わりだ。七瀬」
「ん……」
「頑張れ、君なら大丈夫だ」
「はい」
彼から励まされるような優しい口付けをもらった。ありがとうございます。杏寿郎さん!