第23章 音鳴る屋敷で蟲と戯れる +
「蟲の呼吸」
「蝶ノ舞 戯れ」
「……ん!!」
ふわっと蝶のように空中に舞ったしのぶさんが身軽な動きで私を混乱させる。
次の瞬間、目で追えない速さで見事な突きを右肩に入れられた。
『……いたっ!!』
じんじんと熱を持ったように、突かれた箇所が痛む。
「胡蝶、1本!なんだよ、あっけねぇ。おい、沢渡!もう少し根性見せろ!」
宇髄さんがちっと舌打ちして、つまらなさそうに言った。
予想以上に速い。
まだ1本目だと言うのに、私の体はだいぶ熱くなっていた。
「七瀬さん、私は半分も力を使ってませんよ。あなたもそんなものじゃないでしょう?」
蟲柱はひざまづいている私に向かって、いつもと同じように綺麗な笑顔をみせ、言ってくる。これで半分も出してないんだ。
私は実力をまざまざと見せつけられて驚きと戸惑いでいっぱいだった。