第23章 音鳴る屋敷で蟲と戯れる +
「七瀬さん、早く始めましょうか」
「はい……」
紺の道着姿の私と白の道着姿のしのぶさんは苦笑いしながら、向かい合う。
「くそっ、胸くそわりいな…」
悪態をつく宇髄さんだ。それでも彼は1つ静かな深呼吸をすると、すぐに気持ちを落ち着けた。
あ、やっぱりこの辺の切り替えの良さはさすが柱だよね。
「今日は3本勝負、2本先制した方が勝ちだ。時間はそうだな……
1本につき最大10分。合間の休憩は5分でどうだ?」
彼は顎に手をあてながら、私としのぶさんに問いかけて来る。
「構いませんよ」
「はい、私も大丈夫です……」
丁度良い試合時間だ。
そして、しのぶさんと私は一礼をし、互いに木刀を構える。
自分よりも小柄な彼女だけど、落ち着いている様子から身長よりも大きく見えた。
「よしっ!じゃあ………始め!!」
こうして、蟲柱との手合わせが始まった ———