第22章 紫電と心炎
「良かったね、巧。炎柱様から最大の褒め言葉を貰ったよ。幸せだね」
涙がボロボロ出て来た。指で一生懸命、雫を取り払う。
「本当に見たかったなあ……鳴柱になった巧を」
「………」
杏寿郎さんは握っていた右手を外すと、初めて私と出会った時と同じように頭に手を乗せてくれた。
以前と同じように、温かい彼の体温が頭に染み込んでいく。
「君は思いのほか、よく泣くな」
「だって……杏寿郎さんが優しい事を言ってくれるから」
グスグスやってたら鼻が詰まって来たので、一度ズズっと鼻を吸った。
「初めて会った時も泣いていた」
杏寿郎さんは懐かしそうに私に言う。
「あの時も優しい言葉かけてくれましたよね」
涙を手で拭い、私は彼の方を向いた。
「杏寿郎さんはいつも私が言ってほしい時に丁度良い言葉をくれます。今もそうだし、初めてお会いした時もそうでした」