第22章 紫電と心炎
初めて杏寿郎さんと出かけた日から3週間後の朝。
私は彼と一緒に巧のお墓参りにやって来た。2人で行くと言うのがなかなか難しかったのでようやく、と言う感じかな。
このお墓参りの目的。
それは師範でも柱でもなく、恋人として杏寿郎さんを巧に紹介する為。
まずお墓の掃除。それが終わると、2人で買いに行った3色のスターチスを供え、達は手を合わせた。
『巧、今日は大事な人を連れて来たよ』
目を開けると、ちょうど彼が私の方を向いていた。
「紹介するね。恋人の杏寿郎さん。巧も知ってると思うけど…凄く優しくて強くて、心から尊敬出来る人です。縁があってお付き合いする事になってね。私、とても大事にしてもらってるんだよ」
“惚気るんじゃねーよ”
そんな声が聞こえたような気がする。
「桐谷くん」
杏寿郎さんが私の左手をそっと繋いで、声を出す。
「君が命をかけて七瀬を助けてくれたから、彼女と会えた。本当にありがとう。お館様も言われていたが、とても良い鳴柱になっていたのだろうな。俺もそんな君が見てみたかった」
杏寿郎さん……。
私は目頭が熱くなってしまった。