第22章 紫電と心炎
「以前にも言っただろう?君の事はよく見ている、と」
「はい……」
「自分が思いを寄せている人の事は常に目で追ってしまうものだ。そうすれば相手を見る回数も増えるし、その分何を求めているか、察する事ができるようになるんじゃないか?」
杏寿郎さんは私の頭を優しく撫でてくれながら、そう言った。
「私もあなたの事は見てますけど、まだわからない事が多いです」
「それはな……」
彼が私の耳元に口を持ってきてコソっと呟いた。
はあ。私ずっとこうやって翻弄されるのかな。
「七瀬、そろそろ行かねば」
「あ、そうですね。じゃあ巧、また来るね」
「ではな、桐谷くん」
巧に帰る旨を伝えて、私達は次の行先に足を向けた。
今日はこれから宇髄さんのお宅で集まりがある。柱の皆さんに会うの、久しぶりだから楽しみ!
「………俺の方が君の事を好きだからな。だからわからなくて当然だ。これはずっと変わらない自信があるぞ」
あの時、恋人はそう私に耳打ちしてくれた。