第21章 上弦の月と下弦の月 ✴︎ 〜 茜色の恋、満開 +
掌は私と同じ剣士の手で、皮がとても硬くなっている。
「君の手は本当に小さいな」
また考えている事と同じような事を言われてしまって、ふふっと笑ってしまった。
「どうした?」
「いえ、考えを読まれたのかと思って」
「今のは違うぞ」
「そうなんですね。どうしてこんなに一致する事が多いんでしょうか……」
「うーん」と右手を顎に当てて唸る私に「ああ」と何か閃いたのか、彼が私の耳元に口を寄せて来た。
え、何?急にそんな事されると本当にびっくりするんだけど。
「深く繋がったからではないか?心と体が」
「!!」
私は瞬時に顔が真っ赤になってしまった。
「杏寿郎さん、今はもうお昼に近い時間ですよ?」
「ははっ。すまん!そうだったな。だが」
今度は唇が触れそうになる手前まで顔を近づけられる。
「俺は夜はもちろん朝でも昼でも、いつでも君と繋がりたいと思うがな」
彼の顔で前が見えなくなった —— と思った瞬間、私の唇を優しく盗むような口付けが落とされた。
「———!もう!」
私は更に顔を赤くして、彼の胸を1度平手で柔らかく叩く。