第3章 起きて進め
「うっ………」
炎柱様が優しく諭すように言ってくれた。
この思いやりの一言が、それまで自分の涙をどうにか堰き止めていた栓を抜いた。
私はボロボロ涙をこぼしながら、嗚咽をもらしながら泣き始める。
「うっ………ひっく……巧………」
泣けども泣けども、次々に涙が出てきて止まらない。
川が決壊してしまったようにとにかく泣き続けていく。
『お前といるのって本当飽きないな』
………もっと一緒にいたかったよ。
『お前、本当ちっちゃいなー』
…………もっと抱きしめて欲しかったよ。
『こないださ、善逸にお前の事がどれだけ好きか延々と話したら、凄い嫌がられた。俺もバカだなーって思ったけどさ……』
『でもそれぐらい、俺お前の事が好きだから』
………もっと……もっと好きだよって伝えておけば良かったな。
次々に巧との会話が脳内に浮かんでは消え、また浮かんでは……を繰り返していく。
炎柱様は私が泣いてる間、何も言わずにただそばにいてくれた。
小さい子供をあやすように時々頭を撫でてくれた。
その2つの優しさに私はまた泣けてしまい、もう溢れる感情に任せて、たくさんたくさん涙を流し続けた。
そして ———
時間感覚にして30分ぐらいだったと思う。
涙はまだ出続けていたけど、まぶたがジンジンと痛みだした。
恐る恐る両目を開いてみるけど、何だかいつもより視界が狭い。