第20章 ほどけない夜が明けた後は ✳︎✳︎
くるっと七瀬の体を反転させ、先程と同じように彼女の上に跨った。
「………俺は本当にやめようと思ったんだが。君がそのつもりなら、遠慮なくもらうぞ」
三度(みたび)自分の唇を恋人の唇にそっと落とす。
啄むような口付けの次は舌をスルッと差し込み、彼女の上下の歯列を丁寧に辿る。七瀬も自分の舌を俺の舌に絡ませ、両腕を先程と同じように首にまわして来た。
「七瀬……」
俺は囁くように、愛しい君の名前を呼ぶ。
「………もっと名前……呼んで下さい」
「ねだるのが昨日より上手くなったな」
口付けを一旦やめる。そして彼女の柔らかく小さい唇を親指でツツ……っと2回なぞる。
「好きな人に名前を呼ばれると、ここがすごく温かくなるんです」
七瀬は心臓を人差し指でトントン、とさした。