第20章 ほどけない夜が明けた後は ✳︎✳︎
「あ……じゃあ杏寿郎さん、お先にどうぞ。私、用意してきますから……」
散らばった衣服の中から下着と寝間着を手に持った。
「何を言う?君も一緒に行くぞ」
彼はフッと笑い、私の頭にポンと手を乗せる。
「えぇ、恥ずかしいんですけど……」
「もうお互い全部みただろう?今更言う事ではないと思うが」
いや、確かにそうなんだけど、明るい所で見られるのはまた別の恥ずかしさがあるんですよ!!
「よく見える所で恥ずかしがる君もかわいいだろうな」
正に!
正に今!心の中で思っていた事を言われ、頭から湯気が出そうな気分だ。私は杏寿郎さんの考えがわからない事も多いのに……何だか悔しいな。
「どうしてわかるか、か。そうだな……君の事をいつも見ているからだろうな。今は嬉しいのか、怒っているのか、悲しいのか、楽しいのか。それらをよく考えているぞ」
……本当にこの人には敵わないな。この感情はこの先ずっと私の中について回る事になる。
✳︎七瀬から見た景色✳︎
〜終わり〜