第3章 起きて進め
「仲間達はみんな熱い志を持って、努力に努力を重ねて……それぞれが自分の使命を果たそうって。日々鬼の討伐に励んだ」
「うん……」
「でも、現実は厳しくて。1人、また1人と仲間がいなくなっていくのが思った以上に堪えてさ。もうやめようかなって考えてた時があったんだ」
「そっか……」
私の代は自分とアオイちゃん、それから後2人選別に残った。
4人の内、2人亡くなるだけでもかなりの喪失感があったのだ。
参加者の半数以上が残ったのに、それが自分1人だけになったら、と思うと。
巧がやめたい —— そう考えてしまうのも、当然の感覚なのかもしれない。
「でもそんな状態の時にちょうどお前に出会って、恋仲になれて。自分の命を懸けても守りたいって心から思えるやつができた」
巧が私の方を向いて、笑う。
どきりと鼓動が跳ね、それからドクンドクンと心臓が心地よく高鳴る。
「俺さあ。人って守るべき誰かが出来た時、凄く強くなれるんじゃないかと思う」
「あ、それはちょっとわかるかも」
私はふふっと笑って隣に座ってる巧を見上げた。
「鬼と対峙してる時、お前の顔を思い浮かべるだけで信じられないぐらいの力が出てさ。倒せた事がたくさんあったし」