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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第19章 獅子なる星が降る夜に ✳︎✳︎ +



—— 背中
私は思わず瞼を伏せた。そんな様子を見た彼は「無理はしなくて良い」と言ってくれる。

どうしよう。嫌ではもちろんないのだけど……

「綺麗な……ものではない、ですよ?」
閉じていた瞼をぱちっと開けて、そう答えた。

「それは見ても良いと言う事か?」

私は首をゆっくりと縦に振り、少し時間を掛けて杏寿郎さんに背面を見せた。

沈黙が怖い。
ドキ、ドキ、ドキ、と心臓もこれ以上ないくらいの高鳴りだ。

そしてどんな顔でみられているのか。これが不安で仕方ない。
小さくはない傷だ。だから、普段はあまり見ないようにしている。

右肩甲骨の下から左下に斜めに走っており、長さは30センチ程。
確かケロイド、と呼ばれる皮膚の状態になるだろうと言っていたような気がする。

傷を診てもらった時、1番最初にしのぶさんから説明された。


彼の右手がそっと傷に触れた。

「ん」
「すまん、痛むか」
「いえ、大丈夫ですよ」

まさか、触れられるなんて全く思わなくてびっくりしてしまった。綺麗なものじゃないって言ったのに。

私の心臓はうるさいぐらいにどくどくと高鳴っている。そんな時、彼に名前を呼ばれた。


「……七瀬」

「何でしょう」

「この傷をみた者は?胡蝶以外にいるのか?」

「いいえ」と私は首を横に振る。すると、後方から彼の安心したような様子が伝わって来た。


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