第19章 獅子なる星が降る夜に ✳︎✳︎ +
「……!」
杏寿郎さんの目がまた一層と大きく見開かれるけれど、次の瞬間には妙案を思いついたとばかりにフッと笑う。
そして、こんな提案をして来た。
「では七瀬、君が脱がせてくれ」
「え、私が、ですか」
「そうだ」
彼はそう言った後、隊服に当てていた私の手を掴むと第一ボタンの位置に導いた。
「……早く」
「は、はい……」
艶っぽい上目遣いに観念した私は、少し震えている手で柱の証である金のボタンを順番に外して行く。
続けて下に着ていたシャツのボタンも全て外す。
「終わりましたよ」
彼は炎柱の羽織と一緒にバサッと2枚とも脱ぐ。すると…杏寿寿さんの鍛えられた体躯が私の視界に入って来た。
「………」
「七瀬?……下も頼む」
「あ、はい……」
少し見惚れていた私は杏寿郎さんに声をかけられて、再度自分の手を彼の服に戻す。
………震えはまだ少しある。
ベルトを外した後は黒い足袋、炎模様の脚絆を脱がして、洋袴をゆっくりと下に下ろしていった。
そして下着なのだけど —— ここで、私の手が一瞬止まる。
「あの、これはちょっと……」
「ん?ああ、そうか」
杏寿郎さんは自分で褌の紐をするりと外して取り払う。ぱさりとそれが畳に落ちると、互いの姿は産まれたままの時の物となった。
目の前の杏寿郎さんの体をちらっと見る、が。
身震いしそうな程ドキッとしてしまい、目を逸らしてしまった。
『予想はしてたけど、思った以上に……すごい筋肉……』
ドキドキと鼓動が速度を増していく。