第19章 獅子なる星が降る夜に ✳︎✳︎ +
「ん……」
やっぱりさっきと全然違う。少し戸惑っていると、トントンと舌で唇を開けるように促される。
恥ずかしいけど……!
彼は私が口を開けるとすぐに自分の舌を口内に侵入させ、歯列を丁寧になぞっていく。
一通り口の中を堪能され、唇が離れ、お互いの絡まっていた銀の糸が姿を現す。
ゆっくりと視線を上に向ければ師範の緋色の双眸が先程と同じように、私を真剣にみていた。
—— 暗い夜でも日輪のように輝く ——
自分が大好きな二つの瞳だ。
「これでウソではないとわかったか?」
「……はい……」
そう言って来た師範がとても艶っぽい。こんな顔もするんだ。
心臓うるさいな、もう少し静かにしてほしい。
「君も俺と同じ気持ちと言うなら、一緒に来てくれ」
「は、はい……」
師範は私の肩をふわっと掴んで玄関に向かっていく。
カラカラ……と戸を開けて一旦私から離れると、脱刀して草履を脱いだ。
続けて私も草履を脱ぐと再び肩を掴まれ、向かった先は ——師範の部屋だった。