第19章 獅子なる星が降る夜に ✳︎✳︎ +
彼が襖を開けると背中を優しく押され、部屋に招き入れられた。
中には行灯のあかりがぼんやりと灯っていて、布団も敷かれている。
それを見た瞬間、胸の鼓動が破裂するんじゃないかと言うぐらい、忙しなくなった。
師範は日輪刀を太刀掛に置き、私を後ろからギュッ…と抱きしめてくれる。すると小柄な自分は、大きな彼の体にすっぽりと包まれてしまった。
「大分体が冷たいな……」
更に回された腕に力を込められ、彼の左頬が私の右頬にピタッとくっつけられる。
『あったかい』
冷えていた体がゆっくりと温かみを増していくのがよくわかり、私の顔にも笑みが宿っていく。
「七瀬」
後ろから名前を呼ばれると、今度は師範の方にくるっと体を向けられた。本当に背が高いな、と改めて実感。
私と20センチ近くは違うと思う。
「俺の部屋に来た、と言う事はどういう事かわかるな?」
「はい……」
恥ずかしくて目をそらそうとすると「ダメだ」と言われ、顎をつかまれた。そして親指でそっと唇をなぞられる。
「これから君の全てをもらう……当然だが、朝まで離すつもりは毛頭ない」
私も同じ気持ち……。ちゃんと伝えなきゃ。
「離さないで下さい……師範」