第19章 獅子なる星が降る夜に ✳︎✳︎ +
「すみません、急に。こんな綺麗な夜空の下にいると、気持ちがその……高まってしまって……」
恥ずかしい!もう家の中に入ろう!
そう思い、くるりと踵を返そうとした時にパシッと腕を掴まれる。
「………」
「師範?どうしたんですか??」
たまにどこを見ているかわからない双眸が、今は私の目をしっかりと捉えている。心臓が途端に暴れ出すように鼓動を速めた。
「あの!聞き流して頂いてかまいませんから。私戻りますね……」
そうして掴まれている腕から逃れようとした瞬間、私の体はふわっと彼の腕の中に引き寄せられた。
「……そう言う事はこちらから伝えるものじゃないのか」
「こちらからって……んぅ」
最後まで言い終わらない内に顔を上げれば、師範の唇が私の唇を優しくさらう。
ちう……と一度だけだった。
でも、とても気持ちが伝わってくる口付けだった。