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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第17章 恋柱、甘露寺蜜璃 +




「以前蜜璃さんより教えていただいた、すいーとぽてとなる洋菓子です」

「あの小さいが、素晴らしく美味な甘味か!!」

「はい!」


彼の大きな双眸が更にカッと見開かれた。
そして蜜璃に待望の「休憩しよう!」と鶴の一声が発せられる。
……杏寿郎、さつまいもに降伏した瞬間である。彼はとにかくこの野菜に目がないのだ。


「美味しい〜!幸せ〜!!無限に食べれちゃうわあ」

縁側に移動して来た三人は、右から蜜璃・杏寿郎・千寿郎の並びで腰を下ろした。煉獄邸の庭には数本の桜の木が植えてある。

それに満開の花びらが咲いている景観を目にしながら、蜜璃は景色にも甘味にも満足しつつ、大好物の桜餅をパクパクと食べている。


「桜餅もたくさんありますからね!どうぞ、いっぱい食べて下さい」
「わーい、やったあ!」

そんな蜜璃の隣で、杏寿郎は弟からすいーとぽてとが乗った小皿を受け取った。千寿郎へ礼を言った彼はまず甘味を自分の鼻へと近づけ、香りを確かめる。

さつまいも本来の匂い、それから牛酪(ぎゅうらく=バター)の濃厚な匂いが彼の鼻腔に柔らかく届いた。


「うむ、やはり良い香りだな!」

「千寿郎くん、凄いわ!一度教えただけなのに、すっかり上手に作れてて」

「いえ……ありがとうございます」

『蜜璃さんの説明を噛み砕くの、大変だったなあ』

照れている千寿郎が心の中でそのように考えるのには理由がある。
ご存知の方も多いだろうが、蜜璃は人に何かを指導すると言う事がとても苦手だ。それ故である。


「わっしょい!!」
「わーい、出たあ!師範のわっしょいだー!」

杏寿郎が一口ぱくりとすいーとぽてとを口に入れると、神輿をかつぐ時のかけ声が発せられた。


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