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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第17章 恋柱、甘露寺蜜璃 +





朝から始めた稽古は既に二時間が経過しており、現在の時刻は午前十一時半。甲(きのえ)の杏寿郎は、癸(みずのと)の蜜璃と共に煉獄家の道場でひたすら地稽古をやっていた。

因みに、甲は鬼殺隊の一番上、癸はその逆で一番下を現す階級である。



「師範、あのっ!」
「何だ、どうした!………むんっ!」
「わあっ!」


杏寿郎が突きを出せば、蜜璃はすかさずその太刀を払う。

「あの!私、もう…お腹がすきすぎて、腹部と背中がくっつきそうです……甘味!甘味休憩をお願いします!ひゃっ!!」

今度は横一閃に振るわれた木刀を、下段から上段へ切り上げて躱す(かわす)蜜璃だ。

「さっき休憩を取ったばかりではないか!後たったの千回だぞ、精進しろ!」

「ひえ……」
ぐううううう、とその返答は彼女のお腹の音によって綺麗にかき消されてしまう。

「甘露寺!腹の音で返事をするな、集中しろ!! 」

その時、道場の扉がスッと静かに開けられた。入って来たのは杏寿郎の弟である千寿郎だ。

「お疲れさまです、兄上・蜜璃さん。お菓子を作って来たのですが、そろそろ休憩いかがですか…わっ!!」

「千寿郎くん!天の助けだわ、ありがとう〜〜!!」

「こらこら!まだ終わってないぞー!」

ここぞとばかりに千寿郎に泣きつく蜜璃だ。対し、杏寿郎は稽古に戻れと言って聞かない。


「兄上、さつまいもの甘味もございますよ」
「む……!」

「今日は蜜璃さんの分も作らないと……と考えていたら、いつもより気合が入りまして。たくさん拵え(こしらえ)すぎてしまいました」

「む、む……!」


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