第16章 甘露煮と羨望
「七瀬ちゃん?どうしたの?」
姉弟子が甘露煮を食べる手をとめて、心配そうに私を見ている。
「……すみません。なんでもないんです」
しまった……慌てて、目から出た涙を指で拭う。
「七瀬ちゃんはやっぱり煉獄さんの事が好きなのね」
蜜璃さんはふふっと笑いながら、私に言った。
「やっぱりって……えー!いつから気づいてたんですか?」
「そうねぇ。あの柱合会議の時かしら?」
そうなの?3ヶ月も前から?.
流石は恋柱だ。恋に対しての嗅覚が人並み外れている。確かにあの時、甘酸っぱい気持ちにはなったんだよね。
「蜜璃さん、やっぱり凄いです」
私は塩辛くなったさつまいもを全部食べ終えると、牛肉に手をつけた。
「あら?そう?七瀬ちゃんから褒めてもらえると本当に嬉しいわね」
姉弟子はいつものかわいい笑顔を私に見せてくれると、続けてこう言った。