第3章 起きて進め
「アオイちゃん……巧は………どこ?」
私はすがるような気持ちだった。友人は目を瞑った後、ふうっと一つ息をついて答えてくれた。
「桐谷さんは………亡くなったの。隠の方が駆けつけた時にはもう……」
「そっか……やっぱり現実なんだ」
私は出てきそうな涙を流さまいと、天井に顔を向ける。
それでもどんどん涙が溜まってくるのがわかる。
「何も出来なかった……巧は必死になって私を助けてくれたのに……」
じわっ……と涙が目から落ちた後は次々に溢れる。
そして掛け布団にポタ、ポタ、と染みを作っていく。
「七瀬……」
アオイちゃんは私の右手を自分の両手で優しく握ってくれた。
そのまま私が静かに泣いていると外から引き戸をトントン……と叩く音がする。
「はい、どなたですか?」
アオイちゃんが扉の方を向いて応対してくれた。