第16章 甘露煮と羨望
口元に笑みを浮かべた炭治郎はとても幸せそうだった。
あの家出ないといけないかな。そんな事を思いながら自宅への帰り道を歩いていると、目の前から一羽の黒い鳥が飛んでくるのが見えた。
バサバサと羽を畳みながら、肩に止まる。私の鎹鴉の小町だ。
「七瀬! 恋柱サマカラ手紙!」
蜜璃さんから?なんだろう。
私は小町の脚にくくりつけてある手紙を開くと、その場で読んだ。
その後は予定通り、家に帰宅。
「俺が片付ける、伊之助が散らかす、善逸が片付けたものを動かす……でこんな状態……ごめんな....」
はあ。やっぱり男子だけだとこうなるよね。良かった。
帰って来て………。
全員で共有している居間は特に色々なものが錯乱していた。私は苦笑いしながら炭治郎と2人で片付けた。
「ねえ、炭治郎。2人にも少しずつ出来る事からやってもらおうよ」
「そうだなあ………」
炭治郎は少しだけ遠い目をしながら、私の提案にひとまずは頷いてくれた。
ひとまずは、ね。