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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第14章 蛇柱、伊黒小芭内 +




小芭内を優しく温かい空気が包んだ。
彼の心の中にポッと灯ったのはもう自分から湧き上がる事がないだろう食を求める気持ちであった。すると小さいが、少年の腹からキュルル…と音が鳴る。


「あっ……」

小芭内は恥ずかしそうに、両手で自分の腹を押さえる。

「ふふふ。槇寿郎さんが珍しく早く帰宅されましたし、夕飯をたくさん作りましょうね。小芭内さん、お好きな食べ物はありますか?」






















「伊黒?どうした!大事ないか?」

ふっと過去から現在へと、小芭内の記憶が戻った。隣に座っている杏寿郎がやや心配そうに自分を見ている。

「ああ、問題ない。少し昔の事を思い出していた所だ」
「昔?」
「お前との初対面をな」
「む、あれか」

当時を思い出したであろう杏寿郎。お茶をずずっと啜る彼の耳と頬がやや赤い。

「あの時食べたとろろ昆布は本当に美味かった。お前の言う通り、母上は料理が上手だったな」

「ありがとう!母も喜ぶ事だろう。それから……」

炎柱は改めて先月、母の墓所を訪ねてくれた蛇柱へ礼を伝えた。

「礼などいらん。毎年の事だからな」
「そうか!」

杏寿郎は普段ネチネチと発言する小芭内に好感を持っている。これは出会った時からである。彼が発する言葉の裏には一見わかりづらいが、思いやりの気持ちが入っているからだ。


「時に煉獄、お前は継子の事をどう思っているのだ」
「どうとは何だ??……よくわからんな!」

『珍しい。いつも明確な思いを発する煉獄がわからないと言うとは……』

小芭内は男女の仲について聞いているのだ、と言う旨を隣の友人に伝えていく。その脳内には蜜璃の顔を思い浮かべていた。


「沢渡と話す事も、鍛錬する事もとても楽しい。それから胸の中があたたかくなるんだ!それが心地よくもある」

『これは確定だな。煉獄は沢渡に継子以上の思いを抱いている』

「君は?どうなんだ」

「どうとは何だろうか」

蛇柱はわざとそう答えた。すると ———


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