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炎雷落ちるその日まで / 鬼滅の刃

第14章 蛇柱、伊黒小芭内 +




かつての炎柱 —— 煉獄槇寿郎がこの後、背負って少年を自宅に連れ帰るのだが、小芭内を待っていたのは従姉妹からの罵詈雑言だった。


「あんたが一人逃げたせいで、みんな殺された!!生贄のくせに…何で大人しくしてくれなかったの!あんたが食われていたら!あんな事にはならなかったのに………!」


先程槇寿郎によって倒された蛇鬼だが、実は小芭内の一族は彼女が殺めた人間達の金品で生計を立てていた。
その代わり小さな赤ん坊が好物の鬼に自分たちが生んだ赤ん坊を生け贄として捧げていたそうだ。


従姉妹の発言は彼の心を深く深く抉ってしまう。
もうこの屋敷に自分は居られない。小芭内は槇寿郎についていく事を決めた。









「お帰りなさい、ご無事のお戻り何よりでした」
「ちちうえー」

槇寿郎が玄関扉を開けると、瑠火と千寿郎が彼に声をかけた。

「父上、お帰りなさいませ!ご無事のお戻り……その子は誰ですか?」

長男の杏寿郎は父におぶられている子供を確認すると、槇寿郎に疑問を投げかける。

「ただいま、今帰ったぞ。この子は小芭内、歳は杏寿郎。お前とそう変わらんそうだ。理由(わけ)あって、しばらくうちに置く事にした」

「そうなのですね!わかりました。こんばんは、俺は煉獄杏寿郎だ!よろしくな、小芭内」

「………(そっくりだな)」

槇寿郎にゆっくりと下ろされた少年は炎柱とうり二つの杏寿郎を見て、驚きを隠せなかった。
彼はきらきらと輝く双眸で小芭内を見つめている。

「顔色があまり優れないようだな!腹は空いてないか?母が作る料理はどれも美味しいぞ!」

『聞いて来ないのだな。この包帯を見ても』

思えば槇寿郎もそうだった。ただただ自分の体を気にかけてくれていた。彼の胸にあたたかな気持ちが浮かび始めた中、空間を支配するのはぐ〜〜〜と轟く大きな響きだ。


「む、不甲斐なし!俺の腹の虫が鳴ってしまった……」
「杏寿郎、お前が腹を鳴らせてどうするんだ!」
「杏寿郎は食いしん坊ですからね……」



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