第9章 柱合会議
…俺の妹は鬼になりました
だけど人を喰ったことはないんです
今までもこれからも、
人を傷つけることは絶対にしません
炭治郎は真剣な顔で訴える。
しかし、柱達は炭治郎の言葉を受け入れようとはしない。
皆、沢山の鬼を見てきたが、
人を襲わない鬼は見た事がないのだ。
しかし、そんな炭治郎の言葉を煉獄は黙って聞いていた。
…この少年は、鬼になった妹を…
兄とは、妹の事をこれだけ大事に想うものなのだな…
話を聞き入れてくれない柱に、炭治郎は声を張った。
聞いてください!!
俺は禰豆子を治すため剣士になったんです。
禰豆子が鬼になったのは二年以上前のことで
その間禰豆子は人を喰ったりしてない
そんな炭治郎に宇髄が声を掛ける
話が地味にぐるぐる回ってるぞアホが
人を喰ってないこと これからも喰わないこと
口先だけでなくド派手に証明してみせろ
…あのぉ、でも疑問があるんですけど…
おもむろに、甘露寺が話し出した。
お館様がこの事を把握してないとは思えないです、
勝手に処分しちゃっていいんでしょうか?
いらっしゃるまでとりあえず待った方が…
甘露寺の言葉に、柱達は静かになった。
皆、その方がいいか…と思い直した時、
炭治郎は再度大きな声を発した。
妹は俺と一緒に戦えます
鬼殺隊として人を守るために戦えるんです
だからー…
必死に禰豆子の事を庇い続ける炭治郎を
胡蝶は切なげな視線を送りながら耳を傾けていた。
そこへ、血の気の多い風柱が現れた。
ー… 禰豆子の入った木箱を抱えて…
っ…!
困ります不死川様!
どうか箱を手放してくださいませ
隠が慌てて止めに入るが、そのようなもの、
目にも入らない様子で不死川は言葉を発した。
鬼を連れた馬鹿隊員はそいつかいィ
一体全体どういうつもりだァ?
不死川さん
勝手な事をしないでください
木箱を乱暴に掲げている不死川に、
胡蝶は冷たく声をかけた。
不死川は、胡蝶の事を気にも留めずに続けた。
鬼が何だって?坊主
鬼殺隊として人を守る為に戦える?
そんな事はなァ、ありえねぇんだよ馬鹿がァ
不死川はそのまま、
自身の日輪刀を木箱に突き立てた。
禰豆子に刺さったようで、
木箱からは血が滴っていた。