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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第8章 那田蜘蛛山





はあ、鬼が見当たらない。

美玖は蜘蛛の巣だらけの山を
闇雲に彷徨っていた。


先程、大きな鬼に逃げられたあと、
十二鬼月と思わしき子供鬼を探そうとあちこちを這いずり回ったが、一向に見つからない。
それどころか、他の鬼の姿もない。


…一体どうなっているの?
状況が分からない…!


そのままひたすらに走っていくと、
山の出口の方まで来てしまった。


すぐに方向を変えて山へ戻ろうとすると。


美玖?


麓の方から聞き慣れた声がする。


…カナヲ?


そこには、沢山の隠とカナヲの姿があった。


カナヲもここに?


うん。師範が来る事になったから。隠達を連れて怪我人の救援をするように
言われてきたの。


胡蝶さんが来てくれたんだ…!
良かった…!じゃあ、私も手伝うよ!


ありがとう。


そうして、美玖はカナヲと共に再び山の中へ入って行った。
歩き進めていくと、少し開けた場所に、
人の顔をした大きな蜘蛛が沢山いる場所に出た。
どうやら、血鬼術で蜘蛛にされた隊士隊のようだ。

カナヲの指示に従い、
薬を塗り、包帯を巻いて、処置が終わった者から蝶屋敷に向かわせるよう隠達に指示を出す。

ー…次はこの人…

完全に蜘蛛になっていないけど、
腕や足が短くなってる…。可哀想。


隊士の腕や足に薬を塗っていると、

美玖ちゃん!!
俺の為に来てくれたのぉぉお!?
ありがとう!もう、結婚する?!


なんだか聞いた事のある、テンションの高い声が治療中の隊士から聞こえてきた。以前山で会った…我妻善逸だ。


あ、善逸だったの!気がつかなかった!
善逸もこの山に来てたんだね!
…って事は、炭治郎と伊之助も?


…うん、二人も山に入ったよ。
どこにいるかは分からないけど。


そっか…。
無事だといいんだけど。


善逸と少し言葉を交わし、治療を終えた。
美玖はカナヲにことわりを入れると、他の場所に人がいないか探しに行くことにした。


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