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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第8章 那田蜘蛛山





村田に促され、先を行く二人の前に、
一人の女性隊士が現れて声を発した。


駄目…こっちにこないで!
階級が上の人を連れてきて!!
そうじゃないと、みんな殺してしまう!


そう言う女性隊士には、
目で見える程太い糸が纏わりついており、
左右の手の先には、操られて殺してしまったのだろう仲間の亡骸が横たわっていた。


その女性は、操られ、炭治郎達にも斬りかかった。
とても速い動きだ。恐らく鬼が無理やり動かしているのだろう。

女性の体からは骨が折れたような鈍い音がしたが、
鬼はお構いなしに斬撃を繰り出させている。


女性は、痛みに涙しながら耐えている。


っ…!そうだ!
炭治郎は、木の側をくるくると回るように逃げ回り、
タイミングを見て女性を枝の辺りに放った。

すると、糸が絡まって体の動きが止まった。


はあ、良かった…。これで助かるだろう。


炭治郎がそう思った時、
操れなくなり痺れを切らした鬼が、
女性の首をぐるんと回し、絶命させた。


炭治郎は怒りに震えながら、
操り鬼の元へと走った。


少し離れた木の上にその鬼は居た。
炭治郎は刀を構え、技を出そうとした。


水の呼吸 壱ノ型…

その時、その鬼は抵抗するでもなく、
自ら斬られようと首を差し出す様子が見て取れた。


炭治郎はすぐ様技を変えた。


水の呼吸 伍ノ型 干天の慈雨


伍の型で斬られた者には殆ど苦痛がない。
相手が自ら頸を差し出してきた時のみ使う。
そう、師匠の鱗滝から教わっていた。


操っていたのは母さん…
母親役の鬼であった。

この山で暮らす為、累に従っていたが、
上手くやらずに叱責を受ける事も多々あった。

やっと、辛い日々が終わる…。

ひどく、穏やかな気持ちで母鬼は炭治郎に語りかけた。


…十二鬼月がいるわ。気をつけて…!


…!十二鬼月…!
いるのか、この山に…!



炭治郎と伊之助は、
更に山の奥へと進んでいった。


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