第8章 那田蜘蛛山
少し進んでいくと、
横になっている隊士の姿があった。
…あの緑の市松模様の羽織り…炭治郎だ!
美玖は炭治郎に気付くと、急いで近くに行く。
炭治郎!?大丈夫?
美玖か!君もこの山に?
無事で良かった。
私は大丈夫だけど、炭治郎ひどい怪我だよ…。
すぐに向こうで手当てしよう?
っ…ダメだ…。禰豆子を守らないと…っ
炭治郎は立ち上がる事もできないのに
懸命に動こうとする。
禰豆子って…あの箱の中に入ってた…?
っ…!気付いてたのか!
そう、禰豆子は俺の妹なんだ!
鬼になってしまったけど、人を襲ったりはしない。禰豆子は違うんだ…!
…やっぱり鬼だったんだ。
本当に…人を襲わない鬼なんているのかな…
でも…炭治郎が嘘を言うとも思えない。
…分かった!私が見てくるから炭治郎は動かないで!
美玖は炭治郎にそう声をかけ、
炭治郎が向かおうとしていた方へと走った。
少し先までいくと、何かが走る音がした。
二人いる…。
近くへ行くと、カナヲと、桃色の着物を引きずっている小さな女の子が居た。恐らくあの小さな女の子が禰豆子なんだろう。
カナヲは禰豆子を斬ろうとしていた。
すぐに止めに入らなければ…。
カナヲ!やめて!
?美玖?
師範の指示だから…鬼は斬る。
胡蝶さんの指示…。
それではカナヲを止める事は難しい。
美玖は禰豆子を捕まえると、
抱きしめるようにしてカナヲから庇った。
美玖?一体、何を?
…この子は、確かに鬼だけど、
人を襲わないって、炭治郎が言ってた…。
私は、炭治郎を信じる…。
カナヲも動きを止め、しばらくお互いに沈黙した。
すると、一匹のカラスが飛んできて言った。
カァー!緑の市松模様の羽織り、炭治郎ー!
及び桃色の着物を着た鬼、禰豆子ー!
両名を拘束、お館様の屋敷へー!
二人を殺さずに連れてこいという事か。
ひとまずは助かった…のかな…?
美玖とカナヲは禰豆子を抱えて、
炭治郎の箱に入れると山を降りた。