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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第8章 那田蜘蛛山




ー…


炭治郎と伊之助は山の中にいた。
奥へ奥へと伊之助を先頭に進んでいく。

山の中は蜘蛛の巣が異常なくらいに張っていた。


チッ蜘蛛の巣だらけじゃねーか、邪魔くせえ!


伊之助は文句を言いながらも、
器用に二本の刀で蜘蛛の巣を払いながら進む。


伊之助。


ふいに、炭治郎が声をかけた。


何の用だ!!


伊之助は必要以上に大きな声で返事をした。


ありがとう。伊之助も一緒に来ると言ってくれて心強かった。
山の中からきた捩れたような…禍禍しい匂いに俺は少し体が竦んだんだ。

…ありがとう。


炭治郎はにっこりと笑いながら感謝を述べた。

伊之助は黙って聞いていたが、
なんだかほわほわとした気持ちになっていた。
ほわほわの正体を伊之助は知らないけれど。


伊之助が黙ってほわほわとしていると、
炭治郎が何かを見つけ、伊之助の名を呼んだ。


それは、鬼殺の隊士の姿だった。
伊之助と炭治郎はその隊士の側に寄り声をかける。


応援に来ました。
階級・癸 竈門炭治郎です。


癸…癸…!?
なんで柱じゃないんだ…!!
癸なんて何人来ても同じだ。意味がない!!


炭治郎の言葉を聞き、
その隊士は青い顔で叫んだ。


すると、伊之助が炭治郎の後ろから、
己の拳でその隊士の顔を殴っていた。
炭治郎はとっさに伊之助の名を呼び止めに入る。


伊之助!!


うるせぇ!
意味のあるなしで言ったらお前の存在自体意味がねぇんだよ。
さっさと状況を説明しやがれ弱味噌が!!


仮にも先輩隊士に対して、伊之助はいつもの調子で噛みついた。
伊之助の勢いに、その隊士は状況を説明し始めた。


かっ鴉から…!指令が入って十人の隊員がここに来た。
山に入ってしばらくしたら、隊員が…隊員同士で…斬り合いになって!



隊士が説明をしているその時に、
木々の奥の方にゆらゆらと動く人影が見えた。


その隊士…村田はそれに気付き声を上げた。


炭治郎と伊之助、そして村田は刀を構えて身構えた。


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