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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第8章 那田蜘蛛山





…待ってくれ!!
ちょっと、待ってくれないか!


那田蜘蛛山に着いてすぐに、
善逸は大きな声で叫んだ。


怖いんだ!目的地が近づいてきてとても怖い!


善逸は、鬼殺隊士とはとても思えない程怖がりであった。
体育座りをして涙を流して喚いている。


なに座ってんだこいつ。気持ち悪い奴だな。


お前に言われたくねーよ猪頭!!
気持ち悪くなんてない!普通だ!
俺は普通でお前らが異常だ!


伊之助に気持ち悪いと言われ、善逸が言い返す。
その時、那田蜘蛛山のほうから、何か匂う。
炭治郎は鼻が効くので、誰よりも先に気付き、山の方へと視線を移した。

炭治郎の視線の先には、自分達と同じ隊服を着て、
地面を這うように移動してくる隊士の姿があった。



たす…助けて…


その隊士は、息も絶え絶えに訴える。


炭治郎と伊之助は、その隊士に駆け寄った。


大丈夫か!?どうした!!


炭治郎が近くに駆け寄った時、
その隊士の身体は宙に浮いていた。
まるで魚が釣り上げられるかのように、
後ろから引っ張られていく。


あぁぁぁ!!
繋がっていた…俺にも!


その言葉を最後に、隊士の姿は暗い山の中へと消えてしまった。

3人は、それをただ呆然と眺めていた。
善逸に至っては恐怖で顔を覆っている。



少し、山を見つめ沈黙していたのち、炭治郎が口を開く。



……俺は、行く。


すると、間髪入れずに伊之助も声を上げる。


俺が先に行く!!
お前はガクガク震えながら後ろをついて来な!!

腹が減るぜ!!


伊之助……


炭治郎と伊之助の会話を聞いていた善逸が恐怖に震えながらも伊之助に向かって突っ込む。


腕が鳴るだろ……



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