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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第8章 那田蜘蛛山





ー…


日が沈み、
辺りが暗い静寂に包まれた頃、


美玖は那田蜘蛛山の麓にたどり着いた。


夜の山…。
それだけで不気味な気配を感じるけど、

それだけではない、

何か嫌な気配を感じる。


鬼が居ると知っているから、
当然の事かもしれないけど。



軽く頬を張り、
山へと駆けて行った。



ー…


ザッ…ザッ……


草木が生い茂る山道を

奥へ奥へと進んでいく。



しばらく進むと、

何か、糸のようなものが辺りに落ちていた。


…蜘蛛の…糸…?

那田蜘蛛山というだけあって、
蜘蛛が大量に居るのかとも思ったが、

不自然なほど分厚い束だ。


…鬼の、血鬼術…かな。


その時、前方から、
人影が近づいてきた。


すかさず刀を構え、前方を見据える。



奥から現れたのは、

白髪で、奇妙な紋様が顔に入った、
子供の鬼だったが…


この重い空気…。

近付いただけで、肺が圧迫されるよう…。


こいつだ…。

恐らくは十二鬼月!!


刀をしっかりと構えたまま、
鬼の様子を伺っていると、
その鬼は喋り出した。


また鬼狩りか。
僕達の邪魔をするのは許さない。

お前なんか、父さんが殺すから。


そう言うと、フッと姿を消した。



私はすぐさま鴉をお館様へと放った。

位はわからないが、
十二鬼月であるのは間違いなさそうだ。



…ドォンッ!!!

鴉を放ったと同時に、
すぐ近くから轟音が響いた。


そこには、
大柄な男の鬼が立っていた。

顔は、蜘蛛そのものである。


俺の、家族に、手を出すな!!


その鬼は、
先程の子供鬼が言っていたように、

まるで父親のような台詞を吐き、
美玖に向かってきた。



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