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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第7章 焼芋





槇寿郎は一拍置いて、
杏寿郎に更に尋ねる。


杏寿郎、なにも、
美玖を嫁に取れと言っている訳ではない。

お前の気持ちを聞いておきたかったんだ。



…一体、何故ですか?



…今は、鬼殺隊に身を置いてはいるが、
俺はいずれ、美玖を普通の娘のように
嫁に出したいと思っている。

正式にうちの養女として、
しっかりとした者のもとへな。



…!!
父上…ですが美玖は…



…いずれ…だ。
なにも、今すぐとは言っていないだろう。

俺は親代わりとして、
特に何もしてやれていない。

せめて、真っ当な幸せを掴んでほしいんだ。



……。



杏寿郎は黙って聞いていた。
槇寿郎はそのまま言葉を紡ぐ。



杏寿郎、何度も言うが、
今すぐという事ではない。


もしもお前が美玖を好いている
と、いうのであれば、

俺としては、
そのまま一緒になったらいいと思っている。


…まあ、よく考えてみてくれ。



…はい。では、失礼します。




杏寿郎が部屋を出たあと、
槇寿郎は部屋で一人呟く。


…うまく、いくといいのだが。


先程縁側から甘露寺と美玖の話が聞こえ、
槇寿郎は美玖の気持ちを知った。


美玖の淡い恋心が身を結ぶ事を

一人、月を眺めながら祈る。


その姿は、
まるで本当の父親であるかのようだった。



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