第7章 焼芋
居間へと戻ると、
皆揃って座卓を囲んでいた。
おお!遅かったな!
どうかしたのか?
師範から声をかけられ、
私と甘露寺さんは目を合わせ、
内緒ですー!
と、息を揃えて答えた。
むぅ、まあいい!
そうだ、二人も混ざらないか?
師範は、胡蝶さんと花札をしていた。
こいこいですか?
ああ!
胡蝶が強くてな、
俺ではまるで相手にならん!
うっ…
たしかに、胡蝶さんこういうの強そう…。
胡蝶さんはにっこりと笑うと、
相手になりますよ、と手招きしている。
よしっ…!
私が師範の仇を取りましょう!
おお!随分とやる気だな!
では、あとは弟子に任せるとしよう!
そう言うと、師範は立ち上がった。
…?師範、どちらへ?
ああ!
父上に、焼き芋でも持って行こうと思ってな!
そう言うと、
槇寿郎に取っておいた焼き芋を片手に、
師範は部屋をあとにした。
ー…
ー……
そして、意気込んで臨んだ私は、
胡蝶さんにコテンパンにのされてしまった。
甘露寺さんも同じく…。
胡蝶さん、本当に強いです。
その引きの強さ、もはや反則です。
ふふっ
昔から、この手の遊びは得意なんです。
…ところでー…
さっきは二人で、
何のお話をされてたんですか?
ええっ…?
突然、先程の話を振られ、
助けを求めて甘露寺さんの方を見ると、
甘露寺さんは、
私に任せて!っというような顔で、
実はね、美玖ちゃん、
恋する乙女なの!素敵だわ〜!!
と、言い放った。
これに目が点になる私をよそに、
胡蝶さんと甘露寺さん、
アオイちゃんまでもが大いに食いつき、
結局一から十まで語らされたのだった…。
まさか、炎柱様を…なんて、
全然気がつかなかった!
アオイがそう言うと、胡蝶さんは、
あら、私は、
そうじゃないかと思っていましたよ。
最近自覚された…っていうのは予想外でしたけど。
と言って、更に私を驚かせてくれた。
皆さん、あの、このことは内緒…で…
ふふっ勿論。
言いふらしたりなんてしませんよ。
まあ、見れば分かると思いますけどね。
…!
私、そんなに態度に出てるのかな…。
気をつけなくちゃ…!
密かに決意をして、
皆で更に盛り上がっていく女子会を楽しんでいた。