第7章 焼芋
ー…んーーっ!
柔らかな陽射しのもと、
自室で目を覚ました。
庭の方から、
なにやら音がしている。
…!そうだ!
今日は胡蝶さん達を招いて
煉獄家で焼き芋会をする日だ!
美玖は急いで起き上がると、
庭の方へと急ぐ。
庭に面した廊下を走っていくと、
ちょうど真正面から千寿郎の姿が見えた。
師範!(兄上!)
おはようございます!
そして二人ほぼ同時に
庭で落ち葉を集める杏寿郎に声を掛ける。
すぐに手伝おうと、
そのまま庭に出ようとすると、
杏寿郎に豪快に笑われてしまった。
美玖と千寿郎は
寝間着のままだったからだ。
…!
やだ、私ってば、ほんとに!
師範に指摘され、
大急ぎで部屋へと戻る。
そして、動きやすい着物に着替えると、
髪を緩くまとめ、蝶の髪飾りをつけた。
カナヲが喜ぶと思っての事だ。
髪飾りの色味に合うよう、
着物は橙色のものを身につけている。
準備が整うと、
改めて庭へと急ぎ駆けて行った。
ー…
ー……
庭へと出ると、
既に粗方準備が終わっていた。
師範、すいません…。
ほとんど一人でやらせてしまって…。
むっ!気にする事はない!
今日は俺が胡蝶達を招いたのだからな、
準備をするのは当然の事だ!
杏寿郎の優しい言葉に頬が緩む。
…今日、とっても楽しみで、
昨日はなかなか寝られませんでした!
はっはっは!そうだったのか!
俺も楽しみだぞ!
今日は、腹いっぱい焼き芋を食べるとしよう!
はいっ!!
落ち葉に火をつけると、
最初のお芋を焼きながら、
胡蝶達の到着を待った。