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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第1章 継子





ふぅ〜。もう、お腹いっぱい!
ごちそうさまでした!


お粗末様でした。


千寿郎くんが慣れた手付きで片付け始める。


あ、私も手伝うよ!


腰を上げようとすると、
千寿郎くんに止められる。


いいんです!
美玖さんは、座っていて下さい。


にっこりと笑うと、
凄まじい速さで片付けてしまう。


さ、さすが千寿郎くん。
本人は自覚がないのだから恐れ入る。


その時、師範が口を開いた。


美玖、
ちょっと俺の部屋まで来てくれるか?


?なんだろう…

疑問に思いつつも
はい。と返事をした。


そのまま二人で部屋へと向かう。


部屋に入ると

師範が、
何か風呂敷包の側に腰を下ろす。

向かい合わせになるように、
私も腰を下ろした。


美玖、本当によく頑張ったな。
約束通り、美玖に渡す物がある。


…!そういえば…
出る前に、戻ったら贈り物をと…


師範のすぐ側にある風呂敷包を渡される。



なんだろう…。

すごくわくわくして、

開けてもいいですか?

と、言いながら中身を取り出した。


中には、師範と同じ、
白い羽織りが入っていた。



師範…!これ…!



それは、俺の着ていた羽織りだ。
美玖に合うよう仕立て直したんだ。

受け取ってくれるか?


そっか、師範は先日、
炎柱になったんだ。

歴代の炎柱のみが身につける事ができる、
炎の紋様が描かれた羽織りを思い出し、

手元の羽織りに目線を移す。



この羽織りを着て、
師範は今まで戦ってきたんだ…。

きっと、とても大事な物の筈…。


師範は、普段とは違う、
優しげな微笑みをたたえていた。


感激で、涙がにじんでくる。


…っ、はいっ!
大事に、大事に着ます!
ありがとうございます!!


師範は眉尻を下げると、
にっこりと笑う。


ああ!そうしてくれ!


そうだ、今朝方、
美玖の隊服が届いていたぞ。

着替えてみてはどうだ?

弟子の晴れ姿を是非とも見せてくれ!



隊服…!


はい!そうします!!


私は風呂敷包を大事に抱え、
煉獄家での自室に急ぎ戻る。


師範!着たら戻りますから!
ここで待っていて下さいね!


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