第4章 山中
ー…!
ー……!
…?
んっ……?
ここ…は…?
美玖さん!
気が付かれましたか?
気がつくと、
先程の小道で倒れていたようだった。
まだ、空が暗い。
どうやら、四半刻ほど、
意識を失っていたようだ。
ハッ…!
こ、胡蝶さん…!
私、さっきここで、
上弦の参に会いました…!
…!
上弦の…参?
それは本当ですか?
本当です!
その鬼は…女は殺さない…と
そのような事を言っていました…。
…それは、不思議な鬼…ですね。
女は殺さない…という事は、
この街で報告された被害は、
その鬼で間違いなさそうですね。
…もう既に鬼の気配はなく…
胡蝶さんは鴉に報告書を括ると、
お館様の元へ運ぶよう言った。
さあ、お疲れ様でした。
今日は、このまま帰りましょう。
…はい。
すいません…。
これでは、鬼の情けを受けたようなもの…。
今日出会した鬼が、
普通の鬼だったのなら、
今頃私は黄泉へ旅立っていただろう。
…不甲斐ない…です。
落ち込む私の頭を
胡蝶さんは黙って撫でてくれていた。
ー…
それから数日が経ち、
カナヲとの特訓も、
夜の任務もそれなりに充実していた。
ここ数日の任務では、
普通の鬼ばかりだったので、
私の手で、滅する事ができた。
…けど、それでは…
最終的な目標は、
鬼舞辻無惨を滅する事だ。
十二鬼月に敵わぬようでは、
到底成し遂げる事はできないだろう。
…もっと、
もっと、強くならなくちゃ…!
気持ちばかり焦ってしまい、
日々の鍛錬での成長を感じられない。
人間が、日々努力して、
少しずつ積み重ねていくものを
鬼達は容易く超えていく。
それでも、
結局人は、
努力する他ないのだ。
…よしっ
もっと、体力つけるぞー!
先日、上弦の参の動きが
全く視界に映らなかった…。
動体視力を上げたい…!
見えなきゃ、話にならない…!
美玖はいつもの山に、
全速力で駆けていくのだった。