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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第4章 山中






今日は、
閑静な住宅地だった。


辺りは薄暗く、街灯もまだらだ。



…。



特に、今のところ、
鬼の気配は感じられない。


胡蝶さんとは、
少し離れたところで街を探る。


鴉の話によると、

被害に遭っているのは、

若い男性らしい。



私は女だから、

出てきてくれないかもしれない…。



その時、

一本向こうの道で大きな音がした。



…!!

行ってみよう…!



すかさず、体の向きを変えて跳躍する。



音のした所には、

壁にめり込むようにして倒れてる男性と、



身体中に刺青の入った男がいた。




…!!!

鬼だ!それも、そこらの雑魚じゃない…!!

心臓を鷲掴みにされたような威圧感。


圧倒的な存在感。


…空気が一気に重くなったようで…

うまく、呼吸ができない…。




落ち着かない…!
けど!落ち着いて、私…!



ひとまず、倒れてる男性に近づく。



良かった…息はしてる。

骨折くらいしているかもしれないが、

ひとまずまだ生きているようだった。



…。

ゆっくりと鬼の方へ向き直る。

刀を構えて鬼の様子を伺う。



鬼はこちらを見ると、
無表情のまま、

視界から消えた。



次の瞬間には、私の目の前に立っていた。



鬼狩りか?


…っ!
殺される…?



全然、反応できなかった…
こんな至近距離に、鬼が…。



身体中が震えだすが、
なんとか声を出す。



そうよ。鬼殺隊。
…あなたは…



なぜか攻撃をしてこない鬼の顔へ視線を移す。



刺青だらけの奇妙な出立ながら、
整った顔をした青年の鬼だった。



瞳には、両目に字が刻まれている…。



上弦の……参……?

身体が強張り、いよいよ動けない。



うそ、十二鬼月の、
それも上弦だなんて…。



そのまま、黙って見つめ合っていると…



俺は、女は殺さない。

だから、追ってくれるなよ?



その言葉を最後に、

美玖は、意識を手離した……



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