第3章 蝶屋敷
……。
やはり、そのように思うか?
やはりも何も、
そうとしか言えねーよ!
もう怪我はいいんだろ?
美玖は十二鬼月も倒したんだ。
自分の育てた継子を
もう、ちょっと、
信じてやってもいいんじゃねぇの?
…分かっている。
分かってはいるんだが…。
宇随は黙って煉獄の話に耳を傾ける。
正直に言おう!
俺はできる事なら、
美玖に屋敷にいて欲しい。
鬼殺になど、行かせたくない!
宇随は驚きの余り、
自身の整った目を見開く。
えっ?!
なに、なに?そういう事?
煉獄、美玖の事好きなの?
何をそんなに驚く事がある?
当然、好きに決まっているだろう!
家族も同然だからな!
…??
あれ?
なんか違うな、コレ。
煉獄、つまりお前は、
家族も同然の美玖を
危ない目に遭わせたくない。
そういう事か?
うむ!そうなるな!!
できたら千寿郎と共に、
留守を守っていて欲しい!
ー…。
煉獄、そういう事なら、
やっぱり過保護だぜ。
美玖は鬼殺隊士だ。
師範として、
しっかり送り出してやるべきだ。
…うむ。
頭では分かっているんだがな!
心配を掛けたようだ!
すまなかった!
いや、まあいいんだけどよ?
もっと面白い話になるかと思ったが、
煉獄はこういう奴だよな。
あ〜っと…
そうだ!
折角だし、遊んでくか?
宇随はそう言って、ニヤリと笑う。
いや、俺はいい!
そろそろ帰らなくては!
宇随、色々とありがとう!
煉獄は、すっと立ち上がり、
そのまま店を後にした。
ん〜〜?
なーんか、釈然としねぇなあ。
可愛がっていた継子が大怪我。
そりゃ、師範からしたら、
気が気じゃないだろう。
…けど、
それだけじゃ
ないような気がしたんだがな。
…さーて、
俺も帰るとするか。