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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第3章 蝶屋敷





ー…


宇随と別れ、
そのまま元来た道を行く。


…過保護…か。


先週から、

美玖は復帰した。


一人で行かせるべきだろうが…。


継子である美玖の実力は
誰よりもよく分かっているつもりだ。


だが、どうしても、
半年前の事が頭から離れない。


俺は、こんなにも
うじうじとした人間だっただろうか?


不甲斐ない…!

自身の継子すらも信用できぬとは…。


…カァー…カァー……


考え込んでいたところに、

一匹の鴉が飛んでくる。


美玖の鴉か。

何やら、手紙が括ってある。



師範、おはようございます。
朝寝坊してしまい、
申し訳ありません。

これから蟲柱様の屋敷へ、
行って参ります。

本日はそのまま
泊まらせて頂くつもりです。

ー…


胡蝶の所へ…?


…まあ、明日には帰るだろう。


屋敷へ戻り、
少し、自室で休む。

夜には、任務が入るだろう。


楽な浴衣に着替え、
縁側に横になる。


美玖が居ないだけで、
屋敷が、広く感じるな。


あの、笑い声が聞こえないと、
どうも落ち着かない。


家族…

そうだな、
妹が居たらこんな感じなんだろう。

いつか嫁いで行くまで
守りたいと思うのは
兄として師範として当然の事。


杏寿郎はそんな事を考えながら
ゆっくりと眠りについた。


明日には帰るだろう美玖が
しばし蝶屋敷に留まる事を知るのは

夕刻に
胡蝶の鴉より知らされたのだった。


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