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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第2章 修練





一刻程、三人で他愛のない会話を楽しみ、

甘露寺さんは煉獄家を後にした。



甘露寺は、本当に元気だな!


そうですね!
久しぶりにお会いできて、嬉しかったです!


師範と共に夕餉を終え、
お茶を飲みながら月を眺めていた。



ー…今、聞いてみてもいいだろうか?


少し躊躇いがちに口を開く。



師範…あの、

蝶屋敷から戻って一月程経ちます。

体力も充分に戻りました。
気力も、問題ありません。

任務に復帰する事を
許して頂けないでしょうか…?



…師範が、ゆっくりと口を開く。


……ダメだ。

と、言いたいところだがな…。


悲しげな笑みを浮かべ、杏寿郎は問いかけた。



美玖、君は
任務に出ることが、
恐ろしいとは思わないのか?



…!
そのような事はありません!

私は、任務の中で、
命を落とす覚悟はとうにできています!



ハッキリと、
師範を見つめて言った。



そうか。美玖、

俺は恐ろしい。


君を失うのが、とても、恐ろしい。



どくんっ…


月明かりに照らされた師範が、

私を見つめながら、呟くように声を出した。



…やっぱり、心配させていたんだ…。

申し訳ない気持ちが、胸の中に広がる。



それと、同時に、
師範の先程の言葉に、

胸をときめかせる自分に気付いた。


どっどっどっ…

心臓の音が、耳元で響いているかのようだ。



黙ったままの私を

師範は、優しく、
自身の腕で包み込んだ。



…!!
し、師範…?


師範はそのまま、
私を抱きしめたまま語った。


美玖、君が、
鬼の頸を斬った瞬間。

その時、俺はあの街に駆け付けた。


…炎の型を使い、
十二鬼月をも打ち負かした君を

本当に誇らしく思った。


だが、
着地と同時に倒れ込む姿を見て、

生きた心地がしなかった。


何故、もっと早く駆け付けなかったのか、
己の不甲斐なさが許せなかった。


…師範…。
そんな風に、思っていたなんて…。



師範!師範は何も悪くありません!
いち早く駆け付け、
私を助けて下さったではないですか…!




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