第2章 修練
ーふぅ…。
とってもいいお湯だった。
美玖は、湯上がりに、
中庭を眺めながら、お冷を飲んでいた。
修練後のお風呂は、
とっても気持ちいい。
心地よい疲労感が美玖を襲う。
そのまま、うつらうつらと微睡んでいると、
玄関先の方から、
元気な声が聞こえてきた。
美玖ちゃあーん!
久しぶりに、遊びにきたわー!
半分閉じていた目蓋を擦り、
急いで部屋を後にする。
バタバタと玄関へ向かうと、
杏寿郎と甘露寺が立っていた。
師範!お帰りなさい!
甘露寺さん!お久しぶりです!
お元気そうで何よりです!
そう、声をかけると、
すぐさま甘露寺に抱きしめられる。
美玖ちゃん!聞いたわ!
十二鬼月を倒したんでしょう?!
凄いわ!本当に、よく頑張ったのね!
…!
あ、ありがとうございます…!
甘露寺、玄関ではなんだ。
客間で待っているといい。
何か、茶菓子でも用意しよう。
師範はそう言うと、
一人、街へと向かった。
客間でお茶をすすりながら、
甘露寺さんと世間話をしていた。
甘露寺さんは、
恋の呼吸という、
独特の呼吸で柱となった、私の姉弟子。
そして、師範の元継子であった。
その為、共に修練をしていた事もあり、
色々と、気兼ねなく話ができる、
本当の姉のような存在だった。
お茶をすすりながら、
甘露寺さんが口を開く。
美玖ちゃん。
確か、もう15になったわよね。
好い方とか、できたのかしら…?
私は思いがけない問いかけに
お茶を吹き出しそうになり、咽せた。
…っ、ゴホッゴホッ…
な、なんですか、急にそんな事…!
師範の事を想い描き、顔が熱くなる。
あら!真っ赤になっちゃって、可愛いわ!
その反応は、いるのね!
きゃー!誰っ?誰なのそれは!
そ、そんな人居ませんってば〜!!
甘露寺さんとわちゃわちゃしていると、
部屋の戸が開いた。
なんだ!随分と盛り上がっているな!
師範が、桜餅を片手に入ってくる。
…ボボッ
顔が、更に火照ってくる。
あ、や、やばい…!
そう思った時には、
甘露寺さんが目尻を下げて、
師範なのね!そうなのね!
と、目で訴えていた。