第2章 修練
君を助けたのは胡蝶だ。
俺は、何もできなかった。
…っ
師範、そんな事はありません!
美玖、慰める事はない。
これは事実なのだ!
君を救ったのは胡蝶と、
君自身の強さ故だ。
だから、俺に許しを乞う事はない。
思うまま、
己の思うままに進めばいい。
……!
師範、それは違います。
師範は、たしかに私を救って下さりました…!
あの時、
眠りについていた時、
何の感覚もなく、
意識もふわふわとしていた時、
師範の声が、聞こえてきたのです。
私をあの闇の中から
引き上げて下さったのは師範です!!
だから、そのような悲しい事、
もう、思わないで…下さい…。
ボロボロと、涙が溢れる。
師範は、何も言わずに、
そのまま私の背をさすっていた。
ー…
チチチチッ
んっ…
目を開くと、辺りは明るくなっていた。
夜が、明けたようだ。
庭の木々が青々としていた。
んっ…?
何で、庭が見えるの…?
起きようとするが、
身体が動かない。
何かに、押さえられて…。
その時漸く、
自身が杏寿郎に抱かれたまま、
眠りについていた事を悟る。
〜〜……!!!
頭の上から、師範の息がかかった。
美玖、起きたのか。
…師範!わ、わたし、、
すいません、眠ってしまったなんて…!!
あわあわとしていると、
師範が豪快に笑う。
はっはっはっ!
朝から元気だな!!
その様子なら、
すぐにも任務につけそうだな?
師範は、いつもの、
人を射るような強い瞳で、
わたしに言った。
…!はいっ!
すぐにでも…!
よし、では顔を洗え!
稽古をつけてやろう!
次の任務からまた、
共に闘おう!
こうして、
半年ぶりに美玖は
鬼殺隊に復帰する事となった。