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大正鬼殺譚 〜炎柱の継子〜

第2章 修練




999…、

…1,000…!


はあー!

漸く素振りを終えその場に倒れ込む。


疲れた…。
もう何も持てない!

汗だくで気持ち悪い…!


美玖さん、お疲れ様です。


横になっていると
千寿郎くんがお茶を片手に現れる。


お茶を入れました。
どうぞ、お召し上がり下さい!


ゆっくりと起き上がり、縁側へと向かう。



千寿郎くん、
本当に、いつもありがとう!


ごくごくと喉を鳴らし、
お茶を一気に飲み込む。



…はぁっ!
おいしい…!お茶、おいしいよ!!


良かったです。
もう一杯、いかがですか?


欲しいです!


結局、お茶を三杯飲み干してしまった。


千寿郎くんが口を開く。



美玖さん、
湯の準備が整ってます。

良ければ汗を流してきてはどうですか?


まだ、時間は早いけれど…

せっかく用意してくれたんだから…



うん!ありがとう!
そしたら、お先に頂くね!


替の浴衣を持ってお風呂へと向かう。



ー…


スタスタ…

甘露寺と並び、
煉獄家の近くの小道を進む。


不意に、甘露寺から声をかけられる。


あの、師範…
美玖ちゃん、
怪我をしたと聞いていたけど、

まだ任務に戻れないほど、
酷い怪我だったんですか?



…ああ!
命があったのが不思議なくらいに、
ひどい、怪我だった。



そうだったのね…。
でも、助かって本当に良かったわ…!



…ああ。そうだな。



 …?師範、どうしたのかしら…?
 ……なんだか、げんきがないわ…。



師範、何か、心配事でもおありですか?


口調を正し、甘露寺が問いかける。


杏寿郎は、自嘲気味な笑みを一つ浮かべる。


弟子にまで心配を掛けてしまうとは…。
柱として、不甲斐なし!だな。


…お館様にはああ言ったが、
俺は、美玖に鬼殺などさせたくないんだ。

先日の怪我で三月も意識がなかった。

正直、死んでしまうかと思った。


鬼殺隊の柱として、
このような考えは許されないと分かっているが
美玖には生きていて欲しいんだ。


甘露寺は黙って聞いていた。
胸を高鳴らせながら…

 …師範って、
  美玖ちゃんが好きなのかしら…!
  きっとそうだわ!素敵だわ!






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