第2章 修練
心地よい秋風が吹き始めた。
季節は、暑かった夏が終わり、
実りの季節を迎えようとしていた。
爽やかな秋晴れの朝、
俺は、お館様の屋敷に居た。
今日は、半年に一度の柱合会議である。
…煉獄さん、お久しぶりです〜。
おう!胡蝶か!
元気そうで何よりだ!
まだ他の柱は来ていなかった。
胡蝶が話を続ける。
美玖さんは、
その後、お身体の調子はいかがです?
ああ!
随分と回復した!
今も、屋敷で修練をしている!
胡蝶、世話になったな!
改めて、礼を言う!!
そうですか。
それは、何よりです。
美玖さんは鬼殺隊を引っ張って行く、
期待の若手ですからね。
ー…ところで、
まだ、任務には出さないのですか…?
っ…。
うむ…。
…柄にも無く、口籠ってしまう。
… 美玖は、蝶屋敷から戻ってからも、
日々、修練を欠かしていない。
もう、全快したと言ってもいいだろう…。
だが……
俺が黙っていると、胡蝶が続けた。
心配なのは分かりますが、
美玖さんは、どうでしょうか。
彼女は、
人一倍、鬼殺の任務を
誇りに思っているのではありませんか?
…そうだろう。
自身の命をかけて、
戦う事ができる、素晴らしい心掛けだ…。
だが、
頭では理解しているものの、
どうしても、
送り出してやる気になれないのだ。
胡蝶、
この話は、すぐに忘れて欲しい。
俺は、美玖の事を送り出す事気になれないんだ。
美玖を信じていない訳ではない。
ただ、俺は美玖に、
生きていて欲しいのだ…。
……。
そのまま、胡蝶も俺も沈黙した。
…ジャリ…ジャリ…
しばらくすると、
足音が聞こえてきた。
柱達が集まり、
柱合会議が始まろうとしていた…。