第2章 修練
私の名は、桜井 美玖。
鬼殺隊という、
人を襲い喰らう鬼を滅する為、
鬼と戦い続ける組織に属している。
その隊の中の、
精鋭中の精鋭である、
九名の隊士の事を 柱 という。
炎の呼吸の使い手で、
当代炎柱の煉獄杏寿郎さんが
私の尊敬する師範。
そして、私は、
炎柱の継子として、鬼殺隊へ入ったのだ。
いつか、鬼をこの世から葬り去る、
その決意をもって…。
ー…
ハァっ!…ハァっ!
空を裂く音がこだまする。
私は今日も、
煉獄家にて修練をしていた。
半年程前の事、
下弦の肆との激闘の末、
瀕死の重症を負ってしまった私は…
そのまま、三ヶ月程眠り続けていた。
意識が戻ってから、
二ヶ月程、
蟲柱である胡蝶しのぶさんの
蝶屋敷での療養を経て、
一ヶ月程前に煉獄家へ戻ってきた。
胡蝶さんには、
体力が戻り次第復帰可能とお墨付きを頂き、
師範にも、稽古をつけてもらっている。
…が、
もう、闘える…と思うのになあ…。
蝶屋敷での機能回復訓練で、
ある程度の体力は戻っていたし、
こうして刀を持っての修練も、
以前のようにこなせるまでに回復した。
だが、
師範からのお許しがなかなか出ない…。
下弦の肆との闘いで、
瀕死の重症を負ってしまい、
相当、ご心配をお掛けしただろう事は
容易に想像できた。
…恐らくは、それに関係するのだろう。
確かに、次の任務で、
十二鬼月と遭遇してしまう可能性だってある。
でも…、
私は普通の隊士ではなく、
師範の継子であるという事を
しっかりと自覚している。
鬼殺の任務の中で、
命を落とす覚悟はしている。
もちろん、
そう易々と死ぬつもりはないけど。
……よしっ。
一人悶々としていても仕方ない。
確かに今の実力では、
十二鬼月の下弦にも手数ってしまうのだ。
柱であれば、
下弦の鬼など、容易に倒すだろう。
そう思い直し、
刀をまた振り上げる。
よし!あと、素振り千回…!!
気合を入れ直し、
修練を続ける事にする。
今は、
師範に認めて頂く事だけを考えよう…!