誇り高き魂【JOJO3部】【空条承太郎】【花京院典明】
第6章 銀の戦車戦
そんな訳は、無いのに。
言わなくて、伝えられなかったこと、沢山あったのに…。
「クロスファイヤーハリケーン!!」
「これしきの威力しかないのかッ!?この剣さばきは空と空の溝を作って炎を弾き飛ばすと言ったろうがァ!!」
アブドゥルさんの十字に近い炎の塊の技はポルナレフさんの言う通りに跳ね返り、そしてマジシャンズレッドを焼いた。
自身の能力で…自身のスタンドを焼いている。
「アブドゥル!!」
「フッハッハッ!予言通りだな!自分の炎で焼かれて死ぬのだ」
"まだ"炎を纏っているアブドゥルさんは悔しそうな表情をしている。
そして同じく炎を纏うマジシャンズレッドがポルナレフさんに向かっていく。
「あぁ、ああ、やれやれやれやれだ!悪あがきで襲ってくるか?見苦しいなッ!」
いや、そうでは無いかもしれない。アブドゥルさんは炎を自在に操ると言った。自身の出した炎だ。自身を焼く前に消すのも造作は無いはず。なのに消していないのは…敢えて…だ。
「妙な手応え…!?」
やはり、アブドゥルさんはもう既に何か策を講じていたッ!?
「ナニッ!?」
男が…燃えていた。先程のアブドゥルさんと同じように。
「馬鹿な!?切断した体内から炎が出るなんて!!」
「あれはスタンドではない!!」
なにか…マジシャンズレッドに近しい形の何か…。
『あっ…!!さっきの彫刻の…人形!!』
「ハッ…!!」
無傷のアブドゥルさんがそろりと立ち上がる。
「炎で目が眩んだな」
私もまんまとアブドゥルさんの策にハマっていたわけだ。
アブドゥルさんとは…戦いたくないな。負ける気しかしない、けれど。また同じことを言うのだけれど、でもそれは。
味方の時、頼もしいってこと!!
「貴様が切ったのはシルバーチャリオッツがほった彫刻の人形だッ!!」
「私の炎は自在と言ったろう。お前の打ち返した火炎が人形の関節部をドロドロに溶かし、動かしていたのだ。
自分のスタンド能力にやられたのはお前の方だったなッ!!」
占いは…男に返ってきた。
「そして、改めて喰らえッ
クロスファイヤーハリケーン!!」
大きな炎が男に向かって襲いかかる。
「占い師の私に予言で戦おうなどとは、10年は早いんじゃあないかな?」