誇り高き魂【JOJO3部】【空条承太郎】【花京院典明】
第6章 銀の戦車戦
ジョセフさんが言ったようにポルナレフさんはコイン5枚を見事に1度で全て刺してみせた。
「いや、よく見てみろ」と承太郎くんが付け足す。言われた通りに見てみると。
『…なっ…。』
なんと!私と同様に典明くんも「あれは!!」と声をもらしていた。
だって、コインの間に…。
「ゥンー、なるほど。コインとコインの間に火炎をも取り込んでいる」
そうアブドゥルさんが唸ると、男はこう返す。
「これがどう言う意味を持つかわかったようだな?自惚れでは無い、私のスタンドは自由自在に炎をも切断できるという事だ。フハハ…!!」
「空気を裂き、空と空の間に溝を作れるという事だ。」
アブドゥルと同様に私も「『…ムゥ…』」と声に出してしまった。
アブドゥルさんのスタンドは高火力だ。確かにそれはそうだ、だが炎を切られてしまっては……。
「つまり、貴様の炎は私のシルバーチャリオッツの前では無力ということ」
敵に同意はしたくないが……同じ考えに至ってしまった。
ここでハッとした。
私は何もお荷物になるためにこの旅に同行しているのではないじゃあないか。アブドゥルさんがピンチならば、ここはひとつ、私の"暗殺向け"のスタンドを使えば……。
「やめときな」
……小声で、指摘されてしまった。
承太郎くんに。
彼はきっと私がアブドゥルさんの加勢をすることがわかった上で止めた。彼はアブドゥルさんと戦ったことがあると聞いた。
そんな彼が私を止めた。
ならそれはアブドゥルさんに勝機がある、そういうことなんだろう。
私はポルナレフさんの後ろの壁を隔てて出したスタンドを引っ込めた。
「フッ…お嬢さん、気は済んだかな?私としては女性に手荒な真似はしたくなかったので良かったのだが。なにより、男の1体1の決闘に…水を差されるようでヒヤヒヤしていたのだがね」
そう言いながら、男は貫いたコインを床にちりばめる。
チャリンチャリン……コインの転がる音がする中、私は思考していた。
……私のスタンドの気配を…壁を隔てた気配を…察知していた…!?
ガタガタン…。
音の下方向を見ると。
「ん…!?いつの間に!」
…動く気配を感じなかった。…足音も聞こえなかった。