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誇り高き魂【JOJO3部】【空条承太郎】【花京院典明】

第2章 誇り高き魂




すると花京院典明さんが目を開けた。周りを確認し「き…さ…ま…」と呟いた。大方、肉の芽が抜かれるらしいことを彼は察したのだろう。頭の回転が早く、頭も良いのだろう。頭脳明晰、そんな人なんだろう。

「動くなよ花京院 しくじればテメーの脳はおだぶつだ」

そんなセリフを吐くが彼のことはさっき彼の母親に対する気遣い?で察しがつく……。花京院典明さんを気遣ってのことだろう。肉の芽で操られ、殺人未遂をさせられている彼を哀れんでのことだろう。それに、様子を見ると、何だか上手く行きそうな感じだ。

「手を放せJOJO!顔まではい上がって来たぞッ!」

『待って!アブドゥルさん!近づいちゃよけいにダメです!』

アブドゥルさんを宥めるためか祖父さんが私に続く

「私の孫はなんて孫だ…体内に侵入されているというのに 冷静そのもの…… ふるえひとつおこしておらんッスタンドも!」

彼のスタンドはかなり正確な動きができるらしい。彼のスタンドに任せれば、もしかして花京院典明さんが助かるかもしれない……。息を飲み、彼を見守る。

「機械以上に正確に力強く動いていくッ!」

ピシューッと彼の額から肉の芽目が抜けた……。

「やったッ!」とアブドゥルさんが声を上げる。私もガッツポーズしてしまっていた。

ズルーッと空条承太郎さんの腕からも取り出された肉の芽は祖父さんの波紋疾走によってチリとなった……。久しぶりに見た……波紋疾走。

摘出された花京院典明さんが「な?…」と声をこぼす。急にDIOへの忠誠心でも薄れ戸惑っているのだろうか?

「なぜ おまえは自分の命の危険まで冒してまで私を助けた…?」

「さあな…そこんとこだがおれにもようわからん」

花京院典明さんは泣きそうになっていた。いや、泣いていたのかも。俯いていてよく分からなかった。

空条承太郎という人は、やっぱり優しいのだろう。だから、彼女の母親も彼を心配する。

母親とはそういうものなんじゃなくて、優しい彼ありきのあの愛情だろう。

私の想像する母親像とは似ても似つかない……。私を奇怪な目で見るシーザーちゃんをまるで反面教師のように語る、それが私の母親像だから。


そんな彼を私は心底、羨ましいと思った。

そんな私を私は醜いな……と思う。マスクを調節してしまった…昔からの癖で直らない……私は卑屈で、それのために人を傷つける……
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