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【鬼滅の刃】予定調和【宇髄天元】

第26章 ふたつの半月





「宇髄さんには、笑ってほしいから」

「何で」

「…ごめんなさい…わかりません。でも、
優しいあの笑顔が…見ていたい、っていうか…」

「ふぅん…。だけど、」

宇髄さんは頬杖と

「俺のこと好きだとは言わねぇんだろ?」

ため息をついた。

「…好きじゃ、ありません」

「強情」

「えぇ…?」

「頑固者」

冷めた目。
スッと立ち上がった宇髄さんは、
開け放たれた庭へ続く障子をピタッと閉めた。

私が安心するだろうと言って
開けておいてくれた障子。
小さな空間が出来上がって、
私は少し緊張した。

「おい睦」

そのまま私の隣に膝をつき

「何を考えて、どう思ってるのか、今ぜんぶ話せ」

私の目を強く見つめて凄んだ。

「言わねぇんなら、俺が全部言い当てる」

「…わかりません。…自分がどうなってるのか、
どうしたいのか…わかりません…でも、
海龍のことは終わりにしたいし…
だからって宇髄さんに頼るつもりは、…
ありません…ごめんなさい…」

「頼るつもりがねぇんじゃねぇだろ」

宇髄さんは呆れたように言い、
そこに腰を下ろした。

「何年も1人の男を想って来て、
その気持ちを今になって断とうと思った理由は?
ただ、もうイヤだと思ったから?
それが『今』にしちゃ、
オリが良すぎやしねぇか」

「どういう、ことですか…?」

「そのワケが俺ってことにすりゃ
すべて説明がつくってことだ」

私はそれを聞いて、眉を寄せた。

「そんな事、…宇髄さんがそう思いたいだけです」

「そうだ、俺がそう思いたい。
お前には説明がつかねぇんだろう。
正しい答えを出せない。
だったら仮説として俺がどう思ってもいいはずだ」

「そんなの…」

「そうやって俺に流されるのを、
罪悪感を覚えたお前は踏みとどまったんだ。
あいつがダメになったから、
次は俺に慰めてもらおうなんて
そんな都合のいい話は通らねぇと
あの時お前は思ったな?」

「……」

宇髄さんのする話は怖い。
私の知らない私の事をスラスラ話す。
しかもそれはきっと、
その通りなのだ。

「俺を使え。それでお前が楽になるなら、
喜んで使われてやるから」

「そんな事できません…!」

咄嗟にそう答えた私の手を
宇髄さんは即座に取った。


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